(ああ、もう死にたい)
ドリー夢小説
「」
「・・・・・・何」
名を呼ばれて振り返れば、何故か妙に上機嫌な大剣豪がいた
傍から見れば"上きげ、ん・・・?"と首を傾げたくなる位に変わらない表情だが
何年も傍にいれば、ほんの些細な変化だって見付けてしまえるのだ
そう、例えば、
今みたいに無表情に見えて、実は目尻が若干下がってること、とか
声色が僅かに明るいこと、とか
で、そんな変化に気付けてしまえるからこそ、
そういう時の大剣豪はあまり近付かない方がいいということも知っているわけで
(・・・気付かない振りで逃げれば良かった・・・)
と思っても、振り返ってしまっては後の祭りだ
「主にクイズを出してやる」
「・・・・・・は?」
大剣豪のうきうきと弾む声色と瞳に反比例するように、私の心は下り坂
嫌とかそういうわけじゃない、が
得体の知れない怖さみたいなものが全身を包む
(一体何なんだ。一体何を学習して来たんだこのおっさん・・・!)
実は今私達がいる此処は、聖地マリージョアのとあるホテルの一室だ
七武海の招集がかかり、暇潰しにと参加したミホークについて来た私は
海軍が用意してくれていた部屋で会議が終わるまで大人しく待っていた
そして、戻って来るなり、この一言だ
まだ一人で何か思い付き、私に話そうとするなら良い(いや決して良くはないが)
さっきも言った通り、今は七武海が集まった会議の後だ
確実に、間違いなく、そのうちの誰かから何かを聞いて、若しくは見てきたからの発言だ
そして、その人物は十中八九ピンクのもふもふ野郎だと思う
その他のメンバーは、悪戯にこの大剣豪に可笑しなことを吹き込むことはそうない
だからこその、私のこの警戒レベルなわけで
「答えられたら褒美にソレをやろう」
「は?ソレって何?クイズの答えってこと?
え、いや、その前に、私答えるとは言っ「いいか、いくぞ」
「ちょ、おっさん!人の話を聞け!」
私の言葉を遮り、物凄く得意げに話し出そうとするミホーク
私はミホークの口元を慌てて手で押さえ、言葉を発せないようにした
せめて、せめて間違った時に何をされるのかだけでも聞いておきたい一心で
余談だが、以前同じようにある問いに答えられなかったら
ミホークのいう事を何でも一つだけ聞く、ということがあった
しかも、それも答えられなかった後で聞かされたことで
結局有無を言わさずにミホークの言いなりになる、何てことがあったのだ
え?その時は何を言われたのかって・・・?
・・・全裸の状態にミホークの短刀と、コート、帽子を着用して
ベッドに横たわるミホークの上に跨るっていう・・・
そんなアダルティーな拷問 で し た !
逃げようと思ったんだ!逃げようと思ったんだよ!?
だけど、あのおっさん覇気使うんだもん!!
逃げられるわけないでしょ!!!
それ以前に逃げようもんなら、倍返しどころか3倍返しになりそうな気もしたし!!
だから、だから仕方なく・・・っ!!
ああ!
今思い出しても泣きたいぜ、チクショウ!!←
「むっ!」
「分かった!分かったから!
そのクイズとやらは聞くけど、その前に一つ教えて!」
そう言えば"何を"と言いたげに眉根を寄せたミホークが私を見下ろした
そんなミホークに"お願い"と言えば、少しの間をおいて小さく頷く
(良かった。これで少しは心の準備ってものが出来る・・・!)
安堵の溜息を心の中で溢し、口を覆っていた手をそっと外す
「何が聞きたい?言っておくが、答えは教えてやらん」
「そりゃあ答えは聞きたいけど、それじゃあクイズにならないでしょうが。
そうじゃなくて、間違えた時」
「?」
「だから、そのクイズに間違えた時とか答えられなかった時のこと。
何かさせる気なんでしょ?」
ミホークを見上げながら言えば、そう言えばとでもいう様にまた小さく頷く
だが、不気味なのはその頷き方だ
何故このおっさんはこんなにも楽しそうに笑うのか、という表情で頷いている
「うむ。間違えても正解のソレを主にやろう」
「・・・は?え、それだけ?」
「何か不満か?」
予想外の言葉に驚きが隠せない
言い返した私に、尚も楽しげな表情のミホークが言葉を返してくる
「不満じゃない、けど・・・本当にそれでいいの?」
「構わん」
「・・・間違えても正解の物をくれるって?」
「あぁ」
「・・・・・・・・・」
完全に裏があるだろうとしか思えなかった
(えー・・・もうほんと、何なの・・・)
(絶対何か企んでるし)
(あのもふもふ野郎の事だから、間違いなく嫌なことだし)
(っていうか、何だってもふもふ野郎はミホークに変なこと吹き込むんだ!)
(ミホークもミホークで素直に何でも吸収してくんなっつーの!!)
(あーもう!)
そんな調子で、心の中は大暴風
だがしかし、
もはや答える以外に道はない
「・・・分かった、もういいよ。・・・どうぞ」
意を決した私の言葉に、
大剣豪は誰が見ても分かる程、口元を緩く三日月形に歪めた
一体どんなクイズとやらを出してくれるのだろう
暫しの沈黙の後、
問題のそのクイズとやらがミホークの口から発せられた
「黒くて太くて、柔らかい時も硬い時もあり、口いっぱいに頬張る物は・・・何だ?」
\ フ ラ ミ ン ゴ 野 郎 爆 発 し ろ /
大剣豪のクイズを聞いて真っ先に思った言葉がそれ
次いで浮かんだのは、クイズの答え
っていうか、それクイズなのか!?
軽い眩暈に襲われ、私は俯き
ぎゅっときつく目を閉じながら、眉間を右手の親指と人差し指で強く押さえた
(・・・もうヤダ・・・、セクハ、いやパワハラだ・・・!)
「・・・・・・・・・」
「・・・?」
問題を聞き終えたと同時に俯いた私を呼ぶ声が、頭上から降って来る
何処か嬉々とした声に眩暈の他に頭痛までしてきた
「答えが分かるか?」
答えも何も、それはクイズとして成立しない様な気がするわけで
だから無効じゃないのかと・・・
そんな屁理屈が通用するなんて思ってない
でも、そのクイズというセクハラはあまりにも
(酷過ぎる・・・)
そんな事を考えていると、ミホークの手が突然私の頬に触れた
そのまま軽く撫でられたかと思うと、顎を捉え、顔を上げさせられる
綺麗な金色の瞳は、いっそ清々しい位に輝いて見えた
「・・・少し考えさせて」
「あまり時間はやらぬ」
「少しくらい悩んだっていいでしょ」
「悩むも何も、もう答えは出ているだろう?」
「・・・・・・・・・」
(確信犯か、この野郎!!)
私は顎に掛けられていた手を払い、ミホークを睨み上げた
この場合、私の思う答えを口にしたら
つまりソレを褒美として受け取らなければならないと言う事になる
正解でも間違えていても、だ
そんな少しも嬉しくない褒美と称されるソレは、
ミホーク一人が嬉しいだけなんじゃないかともっぱらの噂ですね、分かります
あ、いや・・・別にミホークとのそういうのは嫌いじゃない、けど・・・←
っていうかさ、
"黒くて太くて柔らかい時も硬い時もあり、口いっぱいに頬張る物"って
フラミンゴ野郎、爆発すればいいのに!!
っていうか、ソレは寧ろ頬張る物じゃないだろ!!!!
ミホークを見上げながらも、悶々と心の中で押し問答を続けていた私
何も言わずに険しい表情をしている私の名を、ミホークが呼んだ
「、答えを言え」
「・・・・・・・・・」
そう催促されて気付く
良く考えたら言葉にするのも出来ないんじゃないかという事を
(何なの、これ何て拷問!!これ何てセクハラ!?)
険しい表情にプラス、困った様にミホークを見上げれば、やっぱり楽しそうな鷹の瞳
「・・・答えられなかったら・・・?」
そう尋ねてみれば、さも当然のように
「正解を口に頬張らせる」
「・・・・・・・・・」
シャンクス助けて!!
そんな心の叫びで救世主の如くシャンクスが現れるはずもない
私はどうしたものかと若干泣きそうになりながら、相も変わらずミホークを見上げていた
「どうした、」
「煩い。心の準備が出来てないんだ、この変態剣豪」
「心の準備・・・?そんなものが必要なのか?」
「・・・おっさん、仮にも私は女なんだから。易々と口にすると思うなよ!」
「・・・・・・・・・?」
「"何で言えないの、意外!"みたいな顔すんな!私、そう頻繁に言った事ないけど!!」
「・・・言っていると思うが・・・?」
(こいつ、殴り飛ばしてやりたい!)
手が出そうになるのを拳を握り締めることだけで我慢した
別に殴っても構わないが、避けられるだろうし、
こんな微妙な会話の真っ只中では、腕を掴まれてベッドに放られる可能性も充分に考えられる
そう分析した上で、私は必死に理性で衝動を押さえ込んだ
「言ってない!断じて言ってない!!」
「好きだと言っていただろう?」
「はっ!?なっ、ばっ!!いっ、言ってないから!
っていうか、ミホークが言ってみろっていうから言ってるだけ!!」
「本来は嫌いだったのか・・・?強要したつもりはないが・・・」
「そっ、べ、別に!ミホーク相手だから、きっ、嫌いじゃない、けど!
でも、自分からソレが好きだとか言った事ないから!!
ミホークが何が欲しいか言ってみろって言うから仕方なく言ってるだけで、っ!!」
「・・・俺が相手?何が欲しいか言ってみろ・・・?・・・、主は何を言っている?」
恥ずかし過ぎて、大きな声で叫ぶように言っていると
落ち着けとでもういう様に肩に手を置かれる
心底訳が分からないといった表情を見せているミホークに、何処か違和感を感じるも
正直、恥ずかしさと焦りと、泣きたい様な、色々な感情が混じり合い
既に冷静さは微塵も無い
(フラミンゴ野郎爆発しろフラミンゴ野郎爆発しろフラミンゴ野郎爆発しろ)
(ついでにミホークも一回くらい爆発すればいい!!)
そう内心で叫びながら、肩に置かれた手を弾く様に振り払った
「このエロ剣豪!ミホークなんか嫌い!!ミホークのソレも嫌い!!!」
「、よく分からぬが落ち着け」
名を呼ばれ、再度手が伸びて来る
その手を避ける様に一歩後退すれば、
その動きとほぼ同時に室内に控えめなノックの音が響いた
私は後ろに仰け反る様な格好で
ミホークは伸ばした手を宙に投げ出した状態で、ドアの方へと視線を向ける
『ジュラキュール様、センゴク様より仰せ付かりました物をお持ち致しました』
ドアが開かれ、そう恭しく言いながら私達に視線を送って来たのはコックだった
このホテルのコックなのか、やたら長い帽子を被るコックスタイルの男
その男が私達の様子を見るなり、部屋に入ろうとしていた足の動きを止める
そりゃそうだ、良く分からない場面を目撃してはそうなるのも仕方がない
どうすれば、と微妙な表情を見せているコックにミホークが手を下ろし、入れと促す
その言葉に小さく返事を返した男は、私達に近付き、少しの距離を置いて立ち止まった
男に押されて室内に持ち運ばれた荷車的な銀のトレーからは甘い匂いが立ち上っている
一体何なんだろうか
センゴク様より仰せ付かったって言っていたような気もするが・・・
(って、え?センゴク?)
耳を疑いたくなる名に、コックを凝視する
「こちら、チョコバナナでございます」
そう言われると、トレーに乗せられた甘い匂いの正体が曝け出された
チョコバナナと言われたソレは、確かにチョコバナナではあるが
色々なデコレーションがされていて、随分と可愛らしい
上に、可笑しな量だった
「仰せ付かりました通り、3房分お作り致しましたが・・・」
「足りなければまた頼む。もう下がれ」
「はい」
コックが一瞬驚いた顔をしたのも無理はない
3房分頼んで、まだ足りなければという辺り尋常じゃない
それでも、一瞬だけ顔を歪ませたコックも平常通りに戻ったかと思うと
頭を下げ、静かに部屋を出て行った
甘い匂いを放ち続けるソレと、ミホークを交互に見遣る
目の前のおっさんは糖尿病最予備軍というより、
実はもう糖尿病なんじゃないだろうかと思わず心配になった
「・・・何でチョコバナナ?」
予期せぬ来訪者と、予期出来ぬ量のチョコバナナのお陰で
冷静さを取り戻した私は、糖尿病じゃないかと思われる大剣豪に問い掛けた
「会議のお茶請けがチョコバナナだったのだ」
「うん」
「クロコダイルやドフラミンゴ達が要らぬからとくれたのだが、足りなかった」
「・・・うん、で?」
「もっと食いたいとセンゴクに話したら、コックに作らせてやると言われた」
「・・・・・・・・・で?」
「も好きだと言っていたことを思い出し、ならば部屋で一緒に食えば良いと思った」
「・・・・・・その結果が3房・・・?」
「うむ」
「・・・・・・・・・」
非常に、何と言うか、
恥ずかしい予感がするのは私だけだろうか、いや違うだろう(反語)
ミホークから視線を逸らし、チョコバナナに移す
可愛らしいデコレーションは崩してしまうのが勿体無いと思える程だった
そして、そんなデコレーションに埋もれるようにあるチョコバナナ
切り分けてある物もあれば、一本丸々のままの物もある
その形を一本丸々残しているチョコバナナの風貌
それは"黒くて太くて柔らかい時も硬い時もある"にぴったりと一致する
そして、"口いっぱいに頬張る"というのも、ミホークならばすることだ
「・・・・・・ねぇ、ミホーク」
「何だ」
「部屋に戻って来た時、機嫌良かったのってコレのせい?」
「・・・が喜ぶと思ったからな」
「・・・・・・わざわざクイズにしたのは・・・、ちょっとした遊び心、とか・・・?」
「・・・ドフラミンゴが、偶には二人の間に遊びを取り入れた方が刺激があっていいと言われた」
(それで、クイズ・・・)
もふもふの言う遊びは多分そう言った遊びじゃないだろう
が、破滅的に天然な大剣豪にはそれが伝わるはずもなく
結果、本当に子供の遊びといえるものを試した
という、私にとっては笑えないオチ
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
思わず黙りこくってしまう私の気持ちも分かって欲しい
そして、お願いだからそんな目で見ないで欲しい
「・・・」
非常に気まずい思いをしている私を呼ぶ、ミホークの静かな声
(私、さっき最後に何て叫んだっけな・・・)
(ミホーク、鷹だって言われてるし、3歩歩いたら忘れないかな・・・)
そんな事を思っている私に、追い打ちをける様な言葉が掛けられる
「俺は何故に嫌いだなどと叫ばれなければならなかったのだ?」
「・・・・・・・・・」
「変態剣豪やら、エロ剣豪とも言われたな」
「・・・・・・・・・」
「それから、俺のソレも嫌いと言ったが・・・ソレとは何だ?」
「・・・・・・・・・」
「そもそも、主はチョコバナナを何と勘違いしていた?」
「・・・・・・・・・」
「」
「・・・・・・・・・」
ミホークの問いに正直に答えることは出来ないだろう
話せば、それこそ痴女扱いだ
なら、良い案が思い浮かぶまで暫く逃げ回るのがいいだろうか
此処はマリージョアで、まだ七武海の面々もいるだろう
クゥちゃんやハンコック、クマ、ジンベエ殿辺りはきっと匿ってくれるはずだ
そうだ、ガープじいちゃんもおつるさんもいる
きっと言い訳という良い案が思い浮かぶくらいまでは逃げ切れる
逃げれば後の報復が怖い気もする
が、先の痴態を知られる以上に怖い報復はないだろう、うんきっと
無言の見つめ合いの中、
そう結論付けた私は細心の注意を払ってミホークの隙を狙い、逃亡することに決めた
「・・・あー、ミホーク?取り敢えずチョコバナナ食べない?」
満面の笑みでそう言えば、ミホークの瞳がチョコバナナへと向けられる気配がした
その隙を逃す手はないと、全神経を足に集中させて扉へとダッシュ
「、何故逃げる」
のはずだったのに、
どうしてミホークが背後に立っているのだろう
しかも、首と腹部にガッツリと腕が回され、抱き締められるように拘束されている
「逃がさぬ。・・・何を勘違いしていたのか知らぬが、
嫌いだと言われたからには、理由を聞くまで放すつもりはない」
「・・・・・・・・・」
(ああ、もう、死にたい)
秋鷺様へ 捧ぐ。
これは酷い/(^o^)\
鼻血物のミポを頂いたお礼にと書いた物・・・なのに!
何なの!何でこんなに下品な下ネタ夢なの!!!!
・・・ミポbotのクイズから思い付いたネタです。全力でごめんなさいorz
次回はもっと格好良いミポを書きます、ので!
これからも仲良くしてやって下さいね、マイマスター!!愛してる!
全裸ミポ、本当に有難う御座いました―――!!
20100925
侑稀様♪
結構前に頂いたのに遅くなっちゃって申し分けない(汗)
素敵ミポたんありがとうございます〜〜!!
色々想像をかき立てられるクイズですよねっ!!!www
私も結構twitterでクイズを所望してるんですwww
毎回侑稀さんの小説にしつこく絵を描かせて頂いてますが、
快く受け入れてくれてありがとうございますww
これからもよろしくだ!! マイ ハニ〜〜〜〜!!!!!♪
2010.11.28 秋鷺